先日の雨降りの日の話、、、
その前に、我が家の朝の様子を説明しよう。
夫は朝6時に起きる。妻はまだ寝ている。
夫は一人でワイシャツにアイロンをかけ、朝食を作り、
妻はずっと寝ている。
夫は7時半に家を出る。
その時に妻に声をかけて起こす。
妻はうにゃうにゃ言ってすぐには起きない。
いや、起きる時もある。
たまに、週に1回程度の、ペースで起きて、夫を見送る。
妻はその後リビングの革のソファに座って朝の情報番組を見る。
見ながらボーッとして、10分ほど過ごし、
妻が朝必ずやることはいくつかあるが、そのうちのかなり上位にくるのが、天気予報のチェック。
これを欠かすことはまずない。
TVの天気予報も確認するが、天気予報アプリを使って、細かく時間毎の天気や気温もチェックする。
ちなみに、この時、妻は自分の実家地域の天気予報も一緒にチェックする。
天気や気温が今住んでいるところと大きく違えば違うほど、
実家から遠く離れたところにいることを実感出来るからだ。
さて、そうやって支度を整えて、妻も出勤をする。
最初の話に戻そう。
それは先日の雨降りの日だった。
妻は仕事をほぼ定時に終えて、帰りがけにスーパーに寄って夕飯の材料を買って帰った。
その日、夫は会社の飲み会があるとかで、夕飯はいらない。とのこだったので、
妻は自分が食べる分だけの簡単な夕飯を準備して、サッと食べて、パッと片付けた。
その後、お風呂に入り、パジャマに着替え、
もう夜にもなると冷え込む時期だったので、リビングには暖房を入れて、加湿器もつけて、
すっかりくつろげる状態でいた。
そして、作ったばかりのハイボールをサイドテーブルに置いたら、ソファに横になって、最近また読み返している京極夏彦の「塗仏の宴」という分厚い本をめくった。
それは妻にとって最高に幸せな時間だった。
そうでしょう?これが幸せでないと言うなら何が幸せか。
妻はもうあとは寝る以外のことは何もしたくなかった。
その時、夫から連絡があった。
「今から帰るが、傘が無い。申し訳ないが駅まで迎えに来てほしい」
妻はそのメッセージを読んで舌打ちした。
夫が幸せを壊したからだ。
だが、仕方ないので迎えに行くことにした。
パジャマの上は着替えずにそのままコートを羽織った。
パジャマの下はギンガムチェックの柄がいかにもパジャマ、な感じがして、
着替えないわけにはいかなそうだったので仕方なく着替えた。
頭はボサボサだったからニット帽をかぶって誤魔化した。
靴下を履くのは嫌だったので、素足でUGGのブーツを履いた。
そうして傘を2つ携えて妻は駅へ向かった。
心中は穏やかではない。
今日は朝から天気予報で「午後は雨になります」と言っていた。
それなのになぜ、傘を持たずに出かけるのか理解が出来ない。
妻は確かに必要以上に天気をチェックするが、
それにしても朝テレビをつけていれば否が応でも天気の情報は入ってくる。
傘がなくて困るのは自分…夫自身なはずだ。
(だがしかし、今回の場合、夫が傘を持っておらず困っている…迷惑がかかっているのは妻だ)
そうやってイライラしながら駅についたら、妙にニヤニヤした顔の夫がいた。
手には近所で有名なお菓子屋の袋を携えていた。
「これ、迎えに来てくれたお礼」と渡してきた。
妻は思った。
「このお菓子を買うお金でビニール傘が買えたのでは?」
ムスッとした顔で妻はお菓子を受け取り、代わりに傘を夫に渡した。
そして二人は一緒に家まで歩き出した。
ふと見ると、夫はまだニヤニヤしている。
「なんで笑ってるの?」と妻が聞くと、
「だってね、独身じゃ雨の時、こうやって迎えに来てもらうことは出来ないよ。
結婚したからなんだよ、いいよね、こういうの」
と夫は変わらぬ笑顔で答えた。
それを聞いた妻もニッコリ笑って二人は一緒に同じ家に帰った。
ああ、なんて幸福そうな夫婦なんでしょう。
…て!思うかーーーーーーーーー!!!馬鹿!!
私の幸せをぶち壊しておいてよく言うわ!!
迎えになんか行きたくねえし!!
寒い雨の中!!
こっちはもうあと寝るだけだったんだよ!
お酒飲みながら京極夏彦の妖怪の事件の世界に浸っていたいんだよ!
一歩も外出たくないんだよ!!!!
てめえ、ちゃんと朝の天気予報見やがれよ!!
見てたのに傘忘れたとしたら、とんだ確信犯だよ!!
朝の天気予報チェックを欠かさないことは、幸福な夫婦の必須条件である。