梅雨も明けていないのに蒸し暑く
あまりの暑さで土曜だというのに朝8時に目が覚めてしまった。
早く起きなくてはいけない予定もないのに
休日に早く目が覚めてしまうのはなんだか損な気分だが
一回目が覚めてしまったら暑さで眠れなくなってしまった。
甘美な二度寝を楽しむことも出来ず、渋々起きて録画したパトレイバー劇場版を見ることにした。
いやぁ、しかしあれですね!
やっぱり後藤隊長は理想の上司ですね!
社会人になった今見るとどれだけいい男なのかよく分かりますよ!
まじ出来る男だわ!後藤隊長と付き合いたい!
と、テンションも上がって早起きしてしまった苦痛を忘れることができた。
今日は同じ部署の上司平入さんと別の部署の林田さんがやるdjイベントに
職場の伊庭ちゃんと一緒に行く約束をしていた。
約束は銀座に19時なので夕方くらいから適当に準備して出かけた。
銀座のバーでdjイベントってどうなの…おハイソサエティーな感じじゃないの?
とドキドキして行ったら、お店には主に林田さんの友達しかいなかった。
アラフォーの男性たちが楽しそうに踊ったり語らったりしていた。
私と伊庭ちゃんはアウェイだった。
着いた時はちょうど平入さんがdjをしている時だったので
店内に居場所もない私と伊庭ちゃんは最前列でお酒を飲みながら話をしていた。
そしたら突然知らない男の人に「ここっていつも来るんですかぁー?」声をかけられた。
「いや、来ないです。上司がdjをやっているので来ました。初めてです」
と返事をすると
「そうなんですかー、僕も初めてでー。なんか雰囲気全然分からなくってー
あ、良かったらあっちで僕の友人たちと一緒に飲みませんか?」
と言われた。
あ、これ、ナンパだ!と思ったが、上司がdjしてる目の前だし、ていうかそういうの求めてないし!
「あ、はあ、あはあは…」
みたいな感じで適当に相槌を打っていたら、私たちの雰囲気を察したのか
林田さんがなんとなく間に入って、自分の友人たちの中に入れてくれた。
その後は林田さんの友人とずっと喋っていた。
面白い人たちだった。
イベントの途中トイレ行列に並んでいたら、私の後ろに並んだ人が
偶然さっき私たちに声をかけてくれた人の仲間だった。
「さっき僕の友人にナンパされてましたよね?」
と言われて
「ああ、はあ、あはあは」
と、また曖昧な返事をしていたら
「差し支えなければ、なんであの後逃げちゃったのか教えてくれませんか?」
と言われた。
ええ?アンケート?ナンパに失敗した理由を女側に直接聞く?
なんなの?こんなの初めて!あたい!
「ええと…いや…まあ…なんていうか…あはあは…」
と答えにくい雰囲気を出してみたのだが通じず
「いや、あの、さっき声かけてたあいつ、ほんと口下手なやつで
なんか失礼なことしたのかな?って思ってー。」
と更につっこまれたので
「あー…上司の目の前でしたし…。失礼なことは何もされてないですけど、
いや、なんていうか、そういうの目的で来てるわけでもないですし…
今一緒にいる人たちも職場の関係の人たちですし…」
となぜか言い訳がましいことを言ったら。
「あーそうなんですかー」
と納得したのかしないのか分からない感じの返事がきた。
なんなんだろう。
もっと正直に
「えーー、ていうかーー、全然タイプじゃないしー
ナンパ?とかされても困るっていうかぁーー。
つーか、そういうことわざわざ聞く時点でまじありえないしぃー
モテないっしょー。ほんとないわーーー」
とか言ってやれば良かっただろうか。
分からん。
分からんが、いい印象はない。
時間が深まるにつれ、店内が人で溢れてきたので
林田さんと林田さんの友人たちと他のお店で飲み直すことにした。
平入さんに「お先に失礼します」と挨拶したら
「ナンパされてたでしょ」とニヤニヤしながら言ってきて、
私が口ごもってたら伊庭ちゃんが「されてないっすよ!」とハッキリ答えていたので
私も「されてないっすよ!」とかぶせた。
平入さんは不服そうに「えー、そうなのー?」と言っていてなんとなく私は罪悪感を覚えた。
でも伊庭ちゃんはあまりに堂々していたので
もしかしたらさっきのも素でナンパだと思ってない可能性もありえる。
2件目に入ってしばらくしたら、
かつて同じ部署で、今は異動して別の部署にいる谷口くんからメールがきた。
「ナンパされて飲みにきました、と」
と書かれていた。
ドキッとした。
あの店に谷口はいなかった。
どこで見ているんだ。
誰が見ているんだ。
伊庭ちゃんに谷口に今の状況をメールしたか、聞いたがしてないと言う。
「なんのはなしだ」
と返信すると
「きみのことですよ」
と返事がきた。
「なぜ知っている」
と返したら
「2ちゃんに書かれていた」
とくだらない返事がきてムカついたので
「明らかな嘘はいらない、なぜ知っている」
と送ったら
「平入さんのイベントがやっている向かいの飲み屋にいた」
と返事がきた。
ああ、世間は狭い。
休みの日なのに、なぜ同じ会社の人間がこんな近距離に集まるんだろう。
そしてなぜ私はナンパに乗った訳でもないのに罪悪感を覚えているんだろう。
「そうか、しかし、ナンパはされていないよ」
と返事したら
「ぼくはこれから人生をかける。さらば」
と返事がきたので多分女性と一緒にいるのだろうと思った。
そしたら余計腹が立った。
私の3連休初日はこんな風に終わった。
とにかくいろんな人に「ナンパされただろう」と言われた。
ナンパされた回数より「ナンパされてたでしょ」と言われた回数の方が多かった。